産経賞オールカマーが26日、中山競馬場で16頭によって争われ、2番人気の
ウインマリリンが直線で一旦は前が詰まりながら再度加速して抜け出し、3度目の重賞制覇を決めた。手塚厩舎は前週の
セントライト記念に続き、中山芝2200メートルGIIを連勝。同じ勝負服の5番人気
ウインキートスが2着、3着に3番人気の
グローリーヴェイズが入った。1番人気の
レイパパレは4着だった。
中山の急坂を上がったゴール前だ。窮地をしのいでグイッとひと伸びした
ウインマリリンが、念願のGI制覇への扉を開く大きな1勝を挙げた。
「きょうは馬の力で勝てました。馬に救われましたね」
振り返る横山武騎手の言葉から、ピンチをはね返したマリリンの強さがはっきり伝わってきた。最内(1)番枠を生かし、道中は好位のインでじっくりと脚をためながら追走。直線では逃げる
ロザムールと
レイパパレの間を突こうとしたところで、進路が狭くなってブレーキをかける形になった。そこから外へ切り返し、
レイパパレと
グローリーヴェイズの間を割って先頭に立ってGI馬2頭を押さえ込んだ。
「思い描いたレースはできたのですが、直線は狭くて入りきれませんでした。(手綱を)引っ張って、もったいない形になりました」
冷や汗をかくシーンを冷静に対処したジョッキーと、それに応えたマリリンの底力。騎乗停止で乗れなかった
オークス(2着)などを除き、これまで9戦をともにしたコンビだからこそ、つかめた勝利といっていい。
アサマノイタズラで制した前週の
セントライト記念から、2週連続重賞Vの手塚調教師は「肘の手術をして帰ってきてからは、調教の動きも雰囲気も良くなった。馬体(プラス14キロ)もすっきり見えたからね」と、ひと夏を越えてさらに成長を実感した様子。次走は
エリザベス女王杯(11月14日、阪神、GI、芝2200メートル)の予定で「一番合う舞台。きょうはいい枠だったというのもあるので、今後は外枠でも折り合えるかですね」と期待を膨らませた。
横山武騎手も「きょうは馬の力で勝てたので、次は自分の技術も、馬の力も発揮できるようにがんばります」と大舞台に向けて気合十分だ。自身に重賞初勝利(昨年の
サンスポ賞フローラS)をもたらした
ウインマリリンとともにビッグタイトルをつかみたい。このコンビ、まだまだ強くなっていきそうだ。(柴田章利)
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ウインマリリン 父
スクリーンヒーロー、母コスモチェーロ、母の父フサイチペガサス。栗毛の牝4歳。美浦・
手塚貴久厩舎所属。北海道新冠町・コスモヴューファームの生産馬。馬主は(株)ウイン。戦績11戦5勝。獲得賞金2億9043万1000円。重賞は2020年GII
サンスポ賞フローラS、21年GII
日経賞に次いで3勝目。
産経賞オールカマーは
手塚貴久調教師、
横山武史騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+女性名」。