サマーマイルシリーズ第3戦の
関屋記念が15日、新潟競馬場で17頭によって争われ、2番手につけた4番人気の
ロータスランドが直線で抜け出し、今年3月に厩舎を開業した
辻野泰之調教師(39)=栗=とともに重賞初制覇。同シリーズは米子Sに次ぐ2勝目となり、単独首位に立った。2着は6番人気の
カラテ。単勝1・8倍の断然人気に推された
ソングラインは3着だった。
夏の越後路でうれしい初メダルだ。新潟の名物マイル戦を押し切ったのは米国産馬の
ロータスランド。直線で内ラチ沿いから抜け出すと、大混戦の2着争いを尻目に堂々と重賞初Vのゴールに飛び込んだ。
「正直、最後は前の馬をかわすのも楽でした。抜け出すとフワフワすると聞いていたので、気は抜けなかったけど、最後まで余力十分でした」
初コンビで見事、期待に応えた田辺騎手が笑顔でパートナーの走りをたたえる。各馬横一線の直線で、進路に最内を選んでの完勝劇。「決めていたわけじゃないけど、内ラチ沿いのほうが1頭になっても真っすぐ走れるんじゃないかと。馬場のいいところを通ることも考えたけど、外に持ち出すロスもあるし、最後はもう馬に頑張ってという感じで」と意気揚々と語る鞍上は、意外にも今年初の重賞制覇。JRA通算1000勝もクリアした37歳は、真夏に
アクセル全開の構えで「あまり結果を出せていないけど、新潟は僕の中では好きな競馬場。もっともっと勝ちたいですね」と貪欲だ。
管理する辻野調教師にとっては、今年3月の厩舎開業から9度目の挑戦で初めてつかんだ重賞タイトル。「初騎乗の田辺騎手が能力を引き出してくれました。(マイナス8キロの馬体重は)意図して絞ったわけじゃないけど、きょうはパドックで馬が研ぎ澄まされた感じでしたし、ロータスにとっては前日の雨もよかった。(2月まで所属していた)角居先生にいい報告ができます」と穏やかな表情でうなずく。
2月に勇退した師匠の角居勝彦元調教師から引き継いだ1頭。当初は1勝馬に過ぎなかったが、その後は一気に開花し、リステッドの米子Sまで3連勝した。半年足らず、駆け足でのサクセスストーリーに「デビュー前から能力は感じていたけど、爪の不安でそれを発揮できなかった。装蹄師さんとかと相談してやってきたことがいい方に向いたと思います」と新人トレーナーは胸を張る。
これでサマーマイルシリーズは計20ポイントで単独首位。王座もグッと近づいてきたが、シリーズ最終戦の京王杯AHには向かわず、今後は一旦放牧に出される見込みだ。夏の収穫を糧に、秋はさらなる高みを目指す。(内海裕介)
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ロータスランド 父ポイントオブエントリー、母リトルミスマフェット、母の父スキャットダディ。鹿毛の牝4歳。栗東・
辻野泰之厩舎所属。米国産。馬主は合同会社小林英一ホールディングス。戦績10戦5勝。獲得賞金1億1224万4000円。重賞は初勝利。
関屋記念は
辻野泰之調教師が初勝利、
田辺裕信騎手は2014年
クラレントに次いで2勝目。馬名は「桃源郷」。
★15日新潟11R「
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