ジャパンCが24日、東京競馬場で15頭によって争われ、3番人気のスワーヴリチャードが、7番手から最内を突いて力強く抜け出し、昨年の
大阪杯以来となる復活のGI2勝目を飾った。鞍上のオイシン・マーフィー騎手はJRA・GI初制覇。2着は3歳牝馬の
カレンブーケドールだった。1番人気の
レイデオロは11着に敗れ、次走の
有馬記念(12月22日、中山、GI、芝2500メートル)をもっての引退が発表された。
泥まみれになりながら、栄光のゴールに飛び込んだ。スワーヴリチャードが重馬場をものともせず抜け出し、昨年の
大阪杯以来約1年8カ月ぶりの完全復活を遂げた。
「世界的に権威のある
ジャパンCを勝てて、本当にうれしい。1つの夢がかないました」と、日本で初のGI制覇を果たしたマーフィー騎手は庄野調教師と抱き合った。
(5)番枠を生かし、スタート後から迷わず最内へ。
カレンブーケドールを見る形で7番手のインをキープし、直線では内に空いた1頭ぶんのスペースを見逃さず、突っ込んだ。こん身の右ムチで一完歩ごとに力強く伸び、外から伸びた
カレンブーケドールに3/4馬身差。2400メートルをぴったり回り、ロスを最小限に抑えたファインプレーがあったからこそのVだ。
「最後の1ハロンで『いける』と勝利を実感した。日本のスーパージョッキーの
武豊さんや、海外の素晴らしいジョッキーのなかで勝てたのがうれしい」。今年は英国で初のリーディングに輝いた24歳。日本では昨年末に短期免許を初取得し、1カ月あまりで25勝。今夏には日本馬
ディアドラを英GI・ナッソーSで頂点に導いた名手は「世界各国でGIを勝ちたい」と向上心をのぞかせた。
「本当に大きな、大きな1勝」と庄野調教師も2つめのタイトルに感無量。
大阪杯後もGIで4度の3着などもどかしい結果が続いていただけに、何とか払拭しようとトレーナーは試行錯誤。5歳の秋で気持ちのズルさが出てきたことから「少し馬にピリッとしてもらいたい」と、中間はこれまでのコース追い主体から坂路主体の調整に変更。集中力を高めるためにチークピーシズも着用した。陣営の思いが、最高の形で結実した。
「ジョッキーの判断と、リチャードの気持ちの強さが見て取れた。さらに強い彼を披露できるように、調教を続けていきたい」と庄野師。今後は未定だが、
有馬記念や来年の海外挑戦などについて「決して世界は遠くないと、実感は湧いています。“
チャンスがあれば”という思いもあります」と意気込みを口にした。苦労の末に復権を遂げたスワーヴリチャードの夢は、まだ続いていく。 (斉藤弘樹)
★入場&売り上げ
ジャパンCの売り上げは184億8670万7600円で、対前年比90・3%の大幅な売り上げ減となった。外国馬の参加もなく、道悪で混戦模様だったのも買い控えに影響したか。今年の平地GIは19レースを終了し、売り上げ減は9レース目。入場者数も8万826人で前年比81・7%に落ち込んだ。
オイシン・マーフィー(Oisin Murphy) 1995年9月6日生まれ、24歳。アイルランド出身。2013年に英国で騎手免許を取得。現在はカタールレーシングの主戦を務める。主なGI勝ち鞍は18年エクリプスS(ロアリングライオン)、19年ナッソーS(
ディアドラ)など。昨年12月に短期免許を取得し、1カ月半で126戦25勝をマークした。24日現在JRA通算32勝で重賞は19年のGIII
根岸S(
コパノキッキング)、GI
ジャパンC(スワーヴリチャード)の2勝。165センチ、53キロ。血液型A。
スワーヴリチャード 父
ハーツクライ、母ピラミマ、母の父アンブライドルズソング。栗毛の牡5歳。栗東・
庄野靖志厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(株)NICKS。戦績は18戦6勝(うち海外1戦0勝)。獲得賞金9億5727万4100円(うち海外6595万100円)。重賞は2017年のGIII
共同通信杯、GII
アルゼンチン共和国杯、18年のGII
金鯱賞、GI
大阪杯に次いで5勝目。
ジャパンCは
庄野靖志調教師、オイシン・マーフィー騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+人名」より。
★24日東京11R「
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