第76回
菊花賞(25日、京都11R、GI、3歳オープン国際(指)、セン馬不可、馬齢、芝・外3000メートル、1着本賞金1億1200万円 =出走18頭)サブちゃん歓喜のV-。クラシック最終戦の
菊花賞が25日、京都競馬場で行われ、歌手の北島三郎(79)が所有(名義は(有)大野商事)する5番人気の
キタサンブラックが優勝した。北島は馬主歴50年を超えるが、JRA・GIはこれが初制覇。レース後は、芝コースのお立ち台でヒット曲「まつり」を熱唱した。
♪ま~つりだ、まつりだ、まつりだ、キタサンまつり、俺もまたどんと頑張るよ。これが競馬のまつり~だよ~
京都競馬場のスタンドが、“北島劇場”に変わった。愛馬の
キタサンブラックが
菊花賞をV。演歌界の大御所、北島三郎オーナーが緑の芝の上の即席ステージで代表曲「まつり」の菊花賞バージョンを熱唱した。
表彰式が終わっても、スタンドの5万人を超えるファンは、サブちゃんを待っていた。「競馬を愛してくれるファンの皆様に、感謝を込めて、サビだけ歌います」。マイクを持つと手拍子に乗って高らかにアカペラで歌いあげた。
馬好きがこうじて、1963(昭和38)年に馬主になった。中央競馬では67年に長男(竜=北島音楽事務所社長)の名前からとったリュウで初出走初勝利。重賞は4勝しているが、GIは12度目の挑戦で初めてつかんだ。
これまで何百頭の馬を所有。競馬場、牧場に足しげく通い、馬の様子が気になるときは、付き人に牧場まで見に行かせたこともあった。
母校・函館西高のラグビー部のジャージーを模した勝負服に合わせ、茶色のスーツ、黒のシャツ、黒と茶のネクタイで応援。最後の直線、馬群を割って伸びる愛馬に「行けぇ、頑張れぇ」と叫んだ。先頭で駆け抜けると、周りの馬主が立ち上がって祝福。馬主席では珍しい光景だった。
「泣きました。まもなく80歳になりますが、こんなに感動したのは生まれて初めて。言葉で表せないくらい感動しています」
運命の馬には、長い付き合いのヤナガワ牧場(北海道日高町)で、一目ぼれした。「目と顔にほれて手に入れました」と振り返り、「スターの素質があるね。僕がいいスーツを着ても、北村騎手がまたがったブラックに並ぶと負けるよ」と笑みをこぼした。
「本当に馬が好きで、真っすぐ走る姿勢、転んでもゴールへ進む姿勢は私の商売と同じ。この年になってもこの道を歩かせてもらって、夢を見ながら、夢を追いかけながら、夢が実現した」と万感の思いだ。