katomai
スガダイ
蒼馬久一郎
第7回キーンランドC(26日、札幌11R、GIII、3歳上オープン国際(指)、別定、芝1200メートル、1着本賞金3800万円=出走14頭)安藤勝己騎乗、3番人気のパドトロワが、1番人気ダッシャーゴーゴーとの接戦をハナ差制し、1分7秒6のコースレコードで逃げ切りVを飾った。アイビスSDに続く、重賞連勝で最終戦のセントウルSを待たずにサマースプリントシリーズの優勝を決めた。 歴戦の名手でさえ勝ち名乗りに驚くほどの大接戦で、札幌競馬場を熱狂させた。パドトロワがアイビスSDに続いて重賞連覇。「本当に!?」。ダッシャーゴーゴーとの競り合いをハナ差しのいだ安藤勝己騎手は、関係者からの祝福を戸惑いながら受け止めた。 「タイミング的に負けたと思ってました。相手も強い馬ですからね」 レースは(2)番枠の利を生かして、ハナを切っていった。「状態がアップしていたので、ある程度行けると思っていた」。好判断で主導権を奪うと、直線入り口で早めにスパート。抜け出したが、ダッシャーの猛追を受けて、馬体をあわせたままゴール。首の上げ下げを制したVは、コースレコードのおまけ付き。さらに最終戦のセントウルSを残し、牡馬として初めてサマースプリント王者に輝いた。 「勝てばチャンスが近づくと思っていた。厩舎一丸となったことがシリーズチャンピオンという結果に表れたと思います」。鮫島一歩調教師も最高の夏に満面の笑みを浮かべた。 タイトル獲得に貢献したのが、真夏のダイエット作戦だ。2走前の函館SS(4着)後は函館競馬場で調整し、前走のアイビスSD直前にフェリー輸送で新潟へ。レース後は再びフェリーで帰函するハードな輸送を敢行した。さらにこの中間は、毎日体重計に乗る徹底チェックで、前走より6キロ減の526キロで出走。鮫島師は「前走時の輸送でかえって体がほぐれたのかもね。使いながら実が入って、体が引き締まった。絞れていたね」とうなずいた。 夏のスプリント王の称号を手に、今秋は昨年2着のスプリンターズS(9月30日、中山、芝1200メートル)でのGI初制覇に照準を定める。 安藤勝騎手が「去年は惜しい2着だったんで、今年もがんばってほしいと思います」とリベンジを誓えば、鮫島調教師は「何とかGIを獲りたいね」と力を込めた。 充実の5歳夏を過ごしたパドトロワが、スプリント王カレンチャンを倒しに行く。 (川端亮平)