第71回
桜花賞(10日、阪神11R、GI、3歳牝馬オープン国際、定量、芝・外1600メートル、1着賞金8900万円、1~4着に
オークス(5月22日、東京、GI、芝2400メートル)の優先出走権=出走18頭)
ディープインパクト譲りの強烈な末脚で、父に初のGI勝利をプレゼントだ。今年のクラシック第1弾は、
安藤勝己騎乗の2番人気
マルセリーナ(栗東・
松田博資厩舎、牝3歳)が、直線で馬場の真ん中から抜け出してV。今年の3歳が初世代となる
ディープインパクト産駒が、早くもクラシック制覇を果たした。タイム1分33秒9(良)。
マルセリーナは、骨折で出走を回避した2歳女王
レーヴディソールと同じ松田博師の管理馬。最有力候補のリタイアはあったが、厩舎の新星が桜の女王を鮮やかに射止めた。
咲き誇る桜の下で、名馬から受け継ぐ血が開花した。GI7勝
ディープインパクトの産駒
マルセリーナが、父譲りの瞬発力で馬群の真ん中から突き抜けて、桜の女王の座を奪取。阪神競馬場に詰めかけた約5万6000人の大観衆は、ディープ産駒のGI初制覇を大きな拍手と歓声で称えた。
「直線で抜け出す時の脚はすごかったですね。本当に馬が強かった。思った以上にすごい脚を使ってくれました」
桜花賞4勝目、そして自身のクラシック最年長優勝記録(09年
ブエナビスタの
オークス、49歳1カ月27日)を更新し、51歳14日での勝利を決めた
安藤勝己騎手=栗東・フリー=は、パートナーの強さに感心しきりだ。
スタートが少し遅かったため、道中は後方に待機。4コーナーでも、まだ後方3番手の位置だった。
松田博資調教師(65)が「道中は内でウロウロしとるし、後手後手になっとるからダメだと思ったわ」と振り返るほど。しかし、馬群の真ん中に突っ込むと、父譲りの末脚がさく裂。アンカツのムチに応えるようにグイグイと脚を伸ばし、ラスト100メートルを残しながらも、瞬く間に先頭へ。意外なほど、勝負はあっさりと決まった。
「(直線で)前が開いてくれたのは、運が良かった」。松田博師はそう言って、安堵の表情だ。昨年のGI
阪神ジュベナイルフィリーズ、前哨戦のGIII
チューリップ賞を制すなど、4戦4勝と無敵を誇った
レーヴディソールが、3月30日の追い切り直後に骨折して
桜花賞を断念する不運があった。また、
マルセリーナ自身も、昨年7月、札幌競馬場での調教中に両前脚を滑らせ、打撲と外傷を負い、デビューすら危ぶまれた時期もあった。それらの苦難を乗り越えて、桜を制することができた“運”に感謝した。
レーヴディソールとの比較でも「一瞬の脚ならば負けないと思う」と松田博師が期待を寄せていた
マルセリーナは、
オークス(5月22日、東京、GI、芝2400メートル)で牝馬クラシック2冠制覇に挑む。松田博師は「1600メートルまでしか走っていないけれど、(2400メートルも)大丈夫だと思っている」と、自信をのぞかせた。
レーヴディソールのいない春を補って余りある
ディープインパクト産駒が、今春の主役を担っていくはずだ。(柴田章利)
★大活躍!
ディープインパクト産駒
05~06年にGIを7勝した
ディープインパクトの子供は、今年の3歳が初の世代。産駒が昨年夏にデビューしてからは快進撃を見せ、昨年はいきなりJRAの2歳リーディングサイアーに輝いた。そして、
桜花賞でGI初制覇。期待は高まるばかりだ。牡馬3冠の第1弾、
皐月賞(24日、東京、GI、芝2000メートル)には、GIIIラジオNIKKEI杯2歳Sの勝ち馬
ダノンバラード(
武豊騎手が騎乗予定、以下同じ)、GIII
きさらぎ賞の勝ち馬
トーセンラー(
蛯名正義騎手)、若駒S(オープン)勝ち馬
リベルタス(
福永祐一騎手)らの有力馬がスタンバイ。牡牝クラシック制覇も現実味を帯びてきている。