第51回
きさらぎ賞(6日、京都11R、GIII、3歳オープン国際、別定、芝・外1800メートル、1着本賞金3900万円=出走12頭)衝撃の末脚で、クラシックの有力候補に躍り出た。直線でグングンと伸びた
トーセンラーが、ゴール寸前で鮮やかにクビ差し切ってタイトル奪取。
ディープインパクト産駒は、
ダノンバラード(昨年12月25日GIIIラジオNIKKEI杯2歳S)に次ぐ重賞2勝目となった。タイム1分47秒6(良)。この切れ味は、間違いなく父譲り。GI7勝の遺伝子を受け継ぐ素質馬が、堂々とGI戦線に乗り込んでいく。
サンスポコムFaceBookへ 父
ディープインパクトを思い起こさせる、まるで“飛んで”きたかのような強烈な末脚だった。逃げ込みを図る伏兵リキサンマックスを、ゴール寸前で捕らえたのは
トーセンラー。エジプト神話で“太陽神”を意味するラー。今年の最高気温14・1度を記録した京都で、その暖かさを武器につけたかのように、燃えるような走りを見せた。
「すごいフィニッシュだった。直線は切れましたね。いい脚でした」
イタリアの名手、ミルコ・デムーロ騎手(32)の声が弾む。直線入り口では、大逃げを打ったマックスとの差は10馬身以上。届きそうもない位置だったが、少しずつ差を詰め、ラスト100メートルあたりでさらに加速。上がり3ハロン(600メートル)33秒4の破壊力で抜き去った。父に似た432キロの小柄な馬体が秘めた能力も、やはり父譲りだ。
「落とせないレースだったし、しっかり仕上げました。うまく乗ってくれましたね」。
ネオヴァンドームに次ぎ、デムーロとのコンビで2年連続、
きさらぎ賞Vを決めた
藤原英昭調教師(45)=栗東=は鞍上を称える。前半は後方に位置し、向こう正面で少しずつ進出。そこで前の位置にポジションを押し上げたことが、最後に届く要因となった。
だが、そのレースぶりを「“彼”はレースを知っている」とデムーロは表現。ラーのレースセンスを高く評価する。「クラシック? とてもいい脚を持っているので楽しみ。大丈夫でしょう」。自身が騎乗するかは未定も、デムーロは春の活躍に太鼓判を押した。
近2走、500万下で(3)(3)着と勝ち切れなかったが、最終調教に騎乗した段階で「
ネオヴァンドームよりもいい」と手応えをつかんでいたデムーロの手綱で、一気にクラシック候補へ。次走は未定だが、素質を開花させた
ディープインパクト産駒は、父同様の“飛ぶ”走りで、今春を賑わしてくれるに違いない。(宇恵英志)
★勢いがあるディープ産駒
05~06年にGIを7勝した
ディープインパクトの産駒は、現3歳が最初の世代。2歳時の昨年は産駒が41勝、総額5億3704万3000円の賞金を獲得。JRA2歳リーディングサイアーとなった。昨年12月のGI
朝日杯FSで
リアルインパクトが2着、
リベルタスが3着。GIIIラジオNIKKEI杯2歳Sで
ダノンバラードが重賞Vと、重賞での活躍も目立ってきている。
リベルタスは今年1月22日の若駒Sで3勝目をマーク。5日のエルフィンSを勝った牝馬
マルセリーナも楽しみな存在だ。今週日曜の
共同通信杯(13日、東京、GIII、芝1800メートル)には
ダノンバラード(栗東・池江郎厩舎、牡)、
サトノオー(美浦・藤沢和厩舎、牡)、
ディープサウンド(美浦・勢司厩舎、牡)の有力馬がスタンバイ。上位独占を狙う。