第50回
宝塚記念(28日、阪神10R、GI、3歳上オープン国際、定量、芝・内2200メートル、1着本賞金1億3200万円=出走14頭)強烈な末脚で戴冠!!単勝2番人気の
ドリームジャーニーが直線で弾けて鮮やかな差し切りV。06年の
朝日杯FS以来となる2年7カ月ぶりのGI2勝目をマーク。
池添謙一騎手はGI10勝目を挙げた。タイム2分11秒3(良)。1馬身3/4差の2着に3番人気の
サクラメガワンダーが入り、単勝1.6倍の断然人気に推された
ディープスカイは3着に敗れた。
天も味方につけた。
ドリームジャーニーが、父
ステイゴールドが4回挑戦(98年から(2)(3)(4)(4)着)して勝てなかった
宝塚記念で、
朝日杯FS以来2年7カ月ぶりのGI勝利をつかんだ。
夏の到来を思わせる快晴の阪神競馬場。6万超のファンは産経
大阪杯の再現を見ているようだった。ジャーニーは、いつも通りスタートでワンテンポ遅れた。しかし、1コーナーの入りまでに折り合いはついて中団やや後ろの外めを追走。すぐ前の
サクラメガワンダー、
ディープスカイを目標に定めた。直線に向くとサクラが抜け出し、ディープも動く。
池添謙一騎手は絶妙のタイミングで追い出すと、上がり3ハロン34秒3とメンバー最速の末脚で人気2頭を一気に差し切った。
断然人気のディープの完敗に場内は一瞬、静寂に包まれたようだった。対照的に、「よっしゃー!」。脱鞍所に戻った池添は喜びを爆発させた。「前走で3200メートルを使っていたので、折り合いはスムーズ。直線で追い出したらスッと反応してくれて、前の馬はかわせると思いました」。会心の勝利に笑顔が弾けた。
池添は陣営からの熱心な依頼を受けて昨年の
安田記念からジャーニーとコンビを結成。厩舎側は中距離向きと判断し、
宝塚記念のステップとして
金鯱賞を考えていたが、池添には長距離でも抑え込んで折り合いをつけさせる自信があり、天皇賞・春を進言した。「この馬の乗り方は分かってきていた。長距離でも我慢が利いていたし、そのおかげで今回は馬がリラックスして走れた」。池添の提言が、久々のGI勝利を呼び込んだ。もうひとつの勝因は良馬場だ。
池江泰寿調教師は「1日に何度も携帯の天気予報サイトを見て気になっていた。運が良かった」と、切れ味を最大限に発揮できたことを喜んだ。
秋の目標は天皇賞(11月1日、東京、GI、芝2000メートル)、さらに香港国際競走(12月13日、GI、シャティン)に参戦して、
ステイゴールド(01年GI
香港ヴァーズ)と父子2代の香港GI制覇だ。レースはヴァーズ(芝2400メートル)か、カップ(芝2000メートル)が有力だが、夢のような旅路(
ドリームジャーニー)は、この秋に世界へ飛翔する。(高尾幸司)