第59回
有馬記念(28日、中山10R、GI、3歳上オープン国際(指)、定量、芝・内2500メートル、1着本賞金2億円 =出走16頭)ジェンティル有終の美-。
戸崎圭太騎乗で4番人気の
ジェンティルドンナが、好位から力強く伸びてゴール前の接戦を制した。タイム2分35秒3(良)。引退レースで有終の美を飾り、JRA史上トップタイの芝のGI7勝目をマーク。レース後には引退式が行われ、ファンに別れを告げた。今後は北海道安平町のノーザンファームで繁殖牝馬としての活躍が期待される。
11万5878人の夢を乗せた大歓声が、中山のターフに交差する。直線入り口で先頭に立った
エピファネイアに、外から猛然と襲いかかる
ジェンティルドンナ。さらに外からは白い馬体を躍らせ
ゴールドシップが追い込んでくる。しかし、女傑の力が一枚上だった。エピファを力でねじ伏せたジェンティルが後続の追撃を振り切って、GI7度目のトップゴール。歴史的な名牝がラストランの花道を飾った。
「後ろから足音は聞こえていたけど、最後の力を振り絞ってくれた。最高の名牝。引退レースを勝つことができて本当によかった」
戸崎騎手は女傑の底力に感服した。天皇賞・秋に続く2度目のコンビでV。「GIをなかなか勝てずに悔しい思いもしていましたけど、
ジェンティルドンナが助けてくれました」と、リーディングに輝いた34歳はホッとした表情を見せる。
歯車がかみ合っていたわけではない。当初は前走の
ジャパンCで引退予定だった。しかし、3連覇を逃して4着に敗れ、急きょ有馬参戦となった。巻き返しへ、手加減ない調教にジェンティルは応え、運も向いてきた。史上初の枠順ドラフトでは一番くじが当たり、絶好の〔2〕枠(4)番をゲット。
石坂調教師は「良馬場、枠順、騎手。勝つ条件は全てそろっていた。過酷なレースに出すのは申し訳なかったけど、ジェンティルの力はこんなもんじゃないと思っていたからね。本当にすごい」と声を震わせた。
2008年
ダイワスカーレット以来史上5頭目の牝馬Vで、父
ディープインパクト、名牝
ウオッカ、
シンボリルドルフ、
テイエムオペラオーに並ぶJRA最多の芝GI7勝目をマーク。レース後、4万人が見守った引退式を終えて、来春からは繁殖牝馬となる。