第57回府中牝馬S(18日、東京11R、GIII、3歳上牝馬オープン国際、別定、芝1800メートル、1着本賞金3900万円=出走18頭)後方から進んだ7番人気のムードインディゴが、直線で一気に突き抜けて重賞初制覇。タイム1分44秒6(良)はレースレコード。昨年の秋華賞2着馬が、因縁の日にタイトルを奪取。次走のエリザベス女王杯(11月15日、京都、GI、芝・外2200メートル)で悲願のGI制覇に挑む。 1年前に京都のGIで見せた末脚は、4歳秋にパワーアップして府中で甦った。昨年の秋華賞で2着に追い込んだムードインディゴが、メンバー最速の上がり3ハロン33秒7で2馬身差の完勝。実績馬が重賞初Vを決めて復活をアピールだ。 「末脚を生かそうと思って直線に賭けるつもりでした。思い通りだったとしても、本当に凄い脚でした」。田中勝春騎手が舌を巻く。スタートして最後方待機。自分のペースで進み、直線で馬群の開いたところへ持ち出すという、描いていた通りのレース。昨夏のクイーンS8着以来3度目の騎乗だったカッチーは「だいぶ体がしっかりした」と成長を実感した。 昨秋はカイバ食いが細く調整に苦労したが、今ではしっかり食べるようになり、調教量を増やすことができるようになった。秋華賞時より6キロ軽い体重でも中身が違う。前走からの12キロ減も「昨年はこのぐらいの馬体重で走っていたので」と友道康夫調教師が調教で攻めてきたものだ。 菊花賞で2冠を狙う同じ厩舎のアンライバルドに「弾みがつきました」と笑顔の友道師は「外回りは魅力ですね」とエリザベス女王杯に意気込む。1つ上の先輩が、秋華賞でしのぎを削った上位馬に貫禄を見せるつもりだ。(下村静史)