レパードSが8日、新潟競馬場で15頭によって争われ、好位を追走した1番人気の
メイショウムラクモが直線で抜け出して重賞初制覇。
柴田善臣騎手(55)=美・フリー=はJRA史上最年長での重賞勝利を達成した。2着は10番人気の
スウィープザボード、6番人気の
レプンカムイが3着だった。
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ゴールした瞬間、記録更新を祝福する大きな拍手がスタンドに響き渡った。先月30日に55回目の誕生日を迎えた現役最年長の柴田善騎手が、1番人気
メイショウムラクモと3馬身差の圧勝劇。岡部幸雄元騎手の54歳0カ月31日を塗り替える、55歳0カ月10日でのJRA最年長重賞制覇だ。
「きょうも1コーナーで掛かっちゃったけど、そこからは落ち着いていけた。(直線の)大事なところでステッキを落として、あまり格好いい勝ち方ではなかったけど、馬はすごく格好良く走ってくれた。(記録は)下の騎手にそのうち抜かれるだろうけど、とりあえずできて良かったです」
勝っても反省の大ベテランだが、ひと筋縄で行かない気性のムラクモをうまくコントロール。大外枠からスタートをゆっくり出し、多少掛かっても無理には抑え込まず、3番手でリズムを作った。4コーナーの手応えも抜群で、直線は鞭などなくともライバルを置き去りにする独壇場だった。
名手はこの夏、多くの国民と同じく東京五輪に熱中。「オリンピックはいいよね。毎日楽しんでるよ」と大いに刺激を受けた。その閉幕日に、「大成の手助けをしたい」と高い能力を認めるムラクモとつかんだ金メダル。JRA重賞初制覇となった和田勇調教師も「もともと気が悪く、途中でやる気をなくしたり、引っ掛かったりと難しい馬に、善臣さんが競馬を教え込んでくれた」と主戦騎手に感謝した。
「プラス12キロの馬体を心配したけど、しっかり稽古を積んでの数字だし、もっとフックラしてもいい部分もある。これからが楽しみだね」
鞍上はひと息入れてのパワーアップを楽しみにする。GIIIはまだ1歩目。55歳の名手と相棒のムラクモは、もっと大きな舞台の表彰台を目指す。(板津雄志)
◆最年長重賞制覇記録を持っていた岡部幸雄元騎手(72)「ここ何年か不振だったけど、リセットできたのかな。大したものだよ。今度はGIIIではなく、GIで私の記録(2002年天皇賞・秋
シンボリクリスエス=53歳11カ月27日)を抜いてほしい。
メイショウムラクモは順調に育てば、ダートGIを十分狙えるんじゃないかな」
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柴田善臣(しばた・よしとみ) 1966(昭和41)年7月30日生まれ、55歳。青森県出身。85年に美浦・中野隆良厩舎から騎手デビュー。93年
安田記念(
ヤマニンゼファー)でGI初勝利。2002年に120勝を挙げて関東リーディングに輝いた。8日現在、JRA通算2310勝は史上6位。重賞はGI9勝を含む96勝。
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メイショウムラクモ 父
ネオユニヴァース、母ノースパストラル、母の父
キングヘイロー。鹿毛の牡3歳。美浦・
和田勇介厩舎所属。北海道浦河町・高昭牧場の生産馬。馬主は松本好雄氏。戦績8戦4勝。獲得賞金7923万9000円。重賞は初勝利。
レパードSは
和田勇介調教師、
柴田善臣騎手ともに初勝利。馬名は「冠名+群雲」。
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