エプソムCが9日、東京競馬場で13頭によって争われ、ルメール騎乗で5番人気のレイエンダが好位から抜け出し重賞初制覇。今後は休養し、毎日王冠(10月6日、東京、GII、芝1800メートル)で復帰予定。秋は一昨年の日本ダービー馬レイデオロとの兄弟対決が見られるかもしれない。7番人気のサラキアが2着、1番人気のソーグリッタリングは3着だった。
雨中の我慢比べで、偉大な兄を持つ超良血が覚醒した。稍重のタフな馬場で行われたエプソムC。1000メートル通過63秒9と、じれるようなスローペースを2番手で折り合ったレイエンダが直線、馬場の中央を力強く抜け出した。
「前半、大変だったね」。極端な流れに見事に対応した殊勲のルメール騎手に、藤沢和調教師が検量室前でねぎらいの言葉をかける。「大丈夫、とても冷静に走ってくれました」と笑顔で答える鞍上。2年前のダービーを全兄のレイデオロで制した円熟の名コンビに、ようやく訪れた待望の兄弟重賞V。その背景にはある“秘策”があったと名手が明かす。
「この間のレース(メイS9着)では結果が出ていなかったけど、きょうはチークピースで全然違う馬でした。すごくいいスタートでいいポジションが取れたし、軟らかい馬場も大丈夫でした。血統と能力がすごくいい。(GII、GIと)絶対にいけます!」。さらに「お兄さんもドバイで結果が出なかった(シーマクラシック6着)けど、たぶん大丈夫(笑)」と2週後に控える兄での宝塚記念制覇へ、ちゃっかり弾みまでつけてしまった。
集中力アップの特効薬も駆使して、トレーナーは実に通算115回目の重賞の表彰台。「去年の阪神(チャレンジC6着)でスタートで立ち後れて前を横切られてから、ダッシュがつかなくなっていたからね。スタートも良かったし、良かったんじゃないの」とニヤリと笑顔を浮かべつつ「短期間で使わせてもらったからね。この後はお休みで秋に備える。毎日王冠から行きますよ」と、しっかりと次のステージを見据える。
まだ今回がキャリア8戦目。勝ち馬がのちにGIホースへ出世するケースも少なくない名物GIIIで“賢兄賢弟”の仲間入りを果たした逸材には、飛躍への伸びしろがたっぷりと残されている。 (内海裕介)
★出世レース
エプソムCは2007年優勝馬エイシンデピュティが翌年の宝塚記念を勝ち、12年2着ダノンシャークは14年マイルCSを制覇、13年2着ジャスタウェイは翌年、世界ランキング1位になるまで成長、15年1着エイシンヒカリはその後海外GIを2勝、同2着サトノアラジンは17年安田記念を制覇している。
レイエンダ 父キングカメハメハ、母ラドラーダ、母の父シンボリクリスエス。黒鹿毛の牡4歳。美浦・藤沢和雄厩舎所属。北海道安平町・ノーザンファームの生産馬。馬主は(有)キャロットファーム。戦績8戦4勝。獲得賞金9626万円。重賞は初勝利。エプソムCは藤沢和雄調教師が1997年タイキマーシャル、2005年スズノマーチに次いで3勝目、クリストフ・ルメール騎手は初勝利。馬名は「伝説(スペイン語)。父名、兄名より連想」。
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