京都の日曜メーンは牡馬3冠最終戦の
菊花賞(GI、芝3000メートル)。
皐月賞、ダービーの2冠馬
ドゥラメンテが骨折による休養中で混戦ムードが漂う。春の実績馬が戴冠するのか、それとも夏の上がり馬が台頭するのか、はたまた隠れたステイヤーが距離延長を味方につけて大仕事をやってのけるのか…。菊の大輪の行方はもちろんだが、馬券的な妙味もたっぷりありそうで興味深い一戦だ。
リアルスティール(栗東・
矢作芳人厩舎、牡)は、
ドゥラメンテを
共同通信杯で破った実績がある。
皐月賞、ダービーではそれぞれ2、4着と
ドゥラメンテに歯が立たなかったが、ひと夏越して心身ともにたくましくなった。休み明けだった前走の
神戸新聞杯は2馬身差2着だったが、相手にいいペースで逃げ切られただけで、悲観する内容ではない。叩いた上積みも見込めるだろう。普段は坂路追いが主体だが、長丁場を考慮して1週前追い切りは栗東CWで6ハロンから81秒8の好タイムをマーク。非凡な瞬発力が最大の武器で、そのぶんスタミナを疑問視する声もあるが、能力の高さで距離の壁を克服する可能性は十分ある。
その
神戸新聞杯を逃げ切った
リアファル(栗東・
音無秀孝厩舎、牡)は、兄がダートGI馬
クリソライトという血統でもあり、デビューからダートで実績を挙げてきた。しかし、2走前に初芝となったマレーシアCを逃げ切って芝適性の高さを見せると、続く
神戸新聞杯も連勝。芝は2戦2勝で、どちらも完勝という形で大一番を迎える。ただ、今回はマークも厳しくなるのは間違いない。それに加えて1周目の4コーナーから直線までの大歓声もある。いかにリラックスして運べるかがポイントになるだろう。
(有)大野商事の所有馬、すなわち歌手の北島三郎さんの持ち馬としても話題になっている
キタサンブラック(栗東・
清水久詞厩舎、牡)は、秋初戦の
セントライト記念で2番手から抜け出し、フジテレビ賞
スプリングSに次ぐGII・2勝目をマークした。
皐月賞でも3着に好走しており実績は上位だが、ダービーで14着と大敗しているだけに、距離延長は気掛かりだ。母の父は
スプリンターとして名高い
サクラバクシンオー。この距離が有利とは考えにくいが、結果を出しても人気にならないタイプで今回も気楽に臨める。「勝ったら“まつり”を歌う」と公言しているサブちゃんの歌声が淀に響き渡るシーンもありそうだ。
セントライト記念で1番人気に支持されたのがダービー2着の
サトノラーゼン(栗東・
池江泰寿厩舎、牡)だったが、7着に敗退。それでも勝ち馬とは約1馬身半差と大きく離されたわけではない。GII
京都新聞杯勝ちを含め京都は2戦2勝とコース適性も高く、巻き返しを図る。池江厩舎は、
セントライト記念5着の僚馬
ベルーフ(牡)と2頭出しで臨み、
秋華賞(
ミッキークイーン)に続く2週連続GI制覇を狙う構えだ。
ブライトエンブレム(美浦・
小島茂之厩舎、牡)は
皐月賞で4着と好走した後、裂蹄でダービーを自重。5カ月ぶりのレースとなった
セントライト記念は流れも向かず10着と大敗したが、上積みがかなり見込める。前走後は栗東トレセンに移動して調整されており、1週前の動きも上々。母
ブラックエンブレムが
秋華賞を制した京都コースで、息子もGI制覇をもくろむ。