第43回シンザン記念(11日、京都11R、GIII、3歳オープン国際、別定、芝・外1600メートル、1着本賞金4000万円=出走14頭)角田晃一騎乗の2番人気アントニオバローズが激しい叩き合いを制し、デビュー3戦目で重賞初Vを飾った。1分35秒3(良)。2着に12番人気ダブルウェッジ、3着に10番人気トップカミングが入り、3連単は27万9100円の高配当となった。1番人気ミッキーパンプキンは4着に終わった。 非凡な能力を一気に爆発させた。デビューわずか3戦目での重賞勝ち。アントニオバローズが、明るい未来への扉を自らの脚でこじ開けた。 「初めて(レースを)詰めて使ったので、返し馬から気負っていた。ゲートのタイミングが合わなかった時はヒヤッとしたけど、それを補えるくらいの能力があると信じていた。とりあえず勝ててホッとしたね」 壮絶な叩き合いを制して引き揚げてきた角田晃一騎手が、笑顔でレースを振り返る。 少しくらいの出負けは関係なかった。道中は内ラチ沿いの3番手を追走。直線入り口で前を行く1番人気ミッキーパンプキンが抜け出すと、外から馬体を併せ一気にかわし、最内をすくったダブルウェッジとの一騎打ち。最後にクビだけ前に出た所が歓喜のVゴールだった。 「“記念”を勝つなら他よりこれが良かったよな。オヤジは時間がかかったと言っていると思うけど、いい報告ができるよ」。武田博調教師にとっても思い入れが深いレース。父・文吾調教師(故人)が育てた名馬シンザンを冠名にしたゆかりのレースを制覇。しかも約6年ぶり4度目の重賞Vだっただけに、感激もひとしおだった。 「これで満足できるような馬じゃない。スタミナは申し分ないけど、まだ早めに先頭に立つと不安があるし、メンタル面が課題になってくる」。普段の調教から付きっきりの角田だからこそ、さらなるレベルアップを求めた。 「とりあえず目標は皐月賞(4月19日、中山、GI、芝2000メートル)。馬の様子を見ながら、次を決めたい」と武田師も“実りの春”へ期待を寄せる。粗削りながら潜在能力は一級品。楽しみなクラシック候補生が誕生した。(瀬戸聡)