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【南関散歩道】かしわ記念の歴史と重み

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 のちに数々の名馬を送り出す「出世レース」という言葉にはなじみがあるが、レースそのものがトントン拍子に“出世”することもある。指定交流となってから、たった9年でGIに格付けされたかしわ記念は、その筆頭格だ。

 かしわ記念は、1949年に第1回の県営競馬が柏競馬場で行われたことを記念し、78年に1800メートルの準重賞として創設。89年に重賞に格上げされ、96年にはマイルの交流重賞となった。翌97年にGIIIとなり、2002年にGIIに昇格すると、05年にGIへ。開催日は流動的だったが、GI昇格後はゴールデンウイークに固定された。

 交流後の昇格スピードの早さは、ハイレベルなメンバーが顔をそろえたことが一因。歴代の優勝馬を見ても、交流初年度が大井のヒカリルーファスで、その後はバトルライン、アブクマポーロと続き、GII昇格後はトーシンブリザード、スターリングローズ、ナイキアディライトと、当時のダートを代表する名馬が名を連ねている。

 また、GII以前は5月末に行われていたため、帝王賞のステップレースにも適していた。その時期に行われていた古馬の交流重賞では、オグリキャップ記念は2500メートルと距離が長く、かきつばた記念は短い。1500メートルの群馬記念(高崎)との比較では、コーナーが緩やかで、GII昇格後は負担重量も課せられにくい点から、かしわ記念が優位で、有力馬が集まる下地があった。仮に群馬記念が創設当初の2000メートルのまま行われ続けていたら、歴史も少し違ったかもしれない。

 GI昇格後は、春のダートマイルの頂上決戦として定着。地方馬の勝利はアジュディミツオー(06年)とフリオーソ(11年)で、ともに川島正行調教師(船橋・故人)の管理馬だった。フリオーソでの勝利後、川島師は「4コーナーでは『勝てる』と思って、検量室に向かっていたよ。地元で勝つというのは本当にうれしいんだ」と満面の笑みで話していたが、JBCを除けば船橋で唯一のGIだけに、やはりここでの勝利は格別なのだろう。

 今年は地方勢の参戦が1頭のみで、7頭立てと寂しくなったが、出走メンバーはGI、そして頂上決戦の名にふさわしいもの。新たな1ページがどう刻まれるかを楽しみにして、16時5分のファンファーレを待ちたい。(大貫)

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