第29回
新潟2歳S(6日、新潟11R、GIII、2歳オープン、馬齢、芝・外1600メートル、1着本賞金3200万円=出走18頭)衝撃の17頭ゴボウ抜き!! 1番人気の
シンメイフジが最後方から直線で大外一気。メンバー最速の上がり3ハロン32秒9の末脚を繰り出して圧巻Vを飾った。初コンビの
岩田康誠騎手(35)=栗・フリー=は昨年の
セイウンワンダーに続き連覇を達成した。1分34秒4(良)。2着に15番人気のフローライゼが入り、馬単、3連単は高配当となった。
夏の新潟フィナーレに今年も
岩田康誠騎手の豪腕が唸った。道中最後方の1番人気
シンメイフジが、直線で外から伸びて鮮やかな差し切り勝ち。後方から直線外ラチ沿いを突き抜けた昨年の
セイウンワンダーのように、豪快なパフォーマンスで岩田康は連覇を決めた。
「道中はあまり無理をしないで直線に賭けようと思っていました。4コーナー手前では前が射程圏に入ったし、最後の直線では反応よく伸びてくれました」。初騎乗でVに導いた鞍上の表情が緩む。前走のダリア賞は出遅れて追い込み届かず2着も、破壊力のある末脚を披露。外回りで直線が長い今回は、持ち味の切れ味を存分に発揮した。残り400メートルで大外に持ち出すと瞬く間に先団に取り付き、ゴール直前で粘るフローライゼをねじ伏せた。「それでも(馬が)観客席を見ているぐらいだった。凄い能力があります」。上がり3ハロン32秒9の強烈な末脚に、まだ余裕があるというのだから驚きだ。
今夏は札幌を主戦場としていた岩田康は、
シンメイフジの依頼があり最終日だけ新潟に参戦。1日3勝を挙げる活躍で夏を締めくくり、「春の悔しさをバネにして頑張れた」。
皐月賞馬
アンライバルドで2冠に挑んだダービーは1番人気で12着。無念を胸に刻み、充実の夏を過ごした。
安田隆行調教師は小倉競馬場でテレビ観戦。数分前の
小倉2歳Sは
ダッシャーゴーゴーで2着惜敗だったが、この勝利に笑顔がほころんだ。「岩田君には昨年の
セイウンワンダーのイメージがあったのだと思います。本当に強い勝ち方でした」。新潟で新設重賞
レパードSを制した
トランセンドに次ぐ新星誕生に心が弾む。今後は放牧。賞金加算に成功して「
阪神JF(12月13日、阪神、GI、芝1600メートル)に直行も考えてます」と青写真を描いている。
シンメイフジは、牝馬ながら普段からドッシリとして落ち着いているのが長所。夏の新潟2歳女王は、逞しい精神力を武器に、さらなるパワーアップを目指す。(下村静史)