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【門田光生の笑う門(田)には福きたる!】執念


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「執念」

7月20日に金沢競馬場で行われた第65回MRO金賞。JRA交流競走だった時期もあるが、現在は東海・近畿・北陸地区交流競走として定着している。ここ10年で金沢所属馬が3勝、兵庫所属馬4勝、愛知所属馬2勝、そして笠松所属馬1勝。同時期に行われるジャパンダートダービーの陰に隠れているが、この金沢の地でも、毎年のように各地区の代表がプライドをかけて、熱い戦いを繰り広げている。

開催地・金沢からは石川ダービー馬が登場。兵庫から兵庫ダービー2着馬、さらに名古屋から東海ダービー3着馬が参戦し、今年も3歳トップクラスの争いが実現した。ところで、石川ダービーは2017年創設という歴史の浅いダービーなのだが、北日本新聞杯と石川ダービーの両方を勝って2冠を達成したのは、今年のアイバンホーが初めて。地元の期待を背負い、この馬が1番人気に支持された。2番人気は兵庫ダービー2着のシェナキング。今年の兵庫ダービーは近年まれに見る大接戦で、そこで最も強い競馬をしたと思われるのがこの馬。最初はシェナキングが1番人気だったように、2頭の実力差は拮抗(きっこう)しているというのが下馬評だった。

スタートで1番人気のアイバンホーが遅れた。もともと気性に難があって、ゲートを出たり出なかったりしていたのだが、今回は悪い方に出てしまった。2番人気のシェナキングは絶好の位置を確保。こちらはレースを重ねるごとにスタートがうまくなっている印象だ。1周目の正面でアイバンホーが抑えきれずハナへ行ったので、シェナキングがアイバンホーを見る形でレースが進んだ。

シェナキングがムチを入れて動いたのは2周目の向こう正面半ば。さすがにこのときは「動くのが早い」と思った。アイバンホーは出遅れて前半に脚を使ったうえ、道中でかなり気負っており、最後までもつとはとても思えなかったからだ。その2頭の争いを見ながら虎視眈々(たんたん)と狙っていたのがベニスビーチ。ひと呼吸おいて進出を開始し、直線で先に抜け出したシェナキングに襲いかかる。勢い、タイミングからして、ベニスビーチが差し切るものとばかり思ったが、並ばれてからシェナキングが驚異的な粘りを発揮。あの展開をしのぎ切ったのには、ただただ驚きだ。

思えば、兵庫ダービーで1番人気馬を負かしに動いて、最後の最後に差されている。ほぼ同じレースを試みて、今度は見事勝ち切ってみせた鞍上の執念を感じた一戦であった。

■門田 光生(かどた・みつお) 競馬専門紙で約20年、トラックマン兼編集部主任として在籍し、現在はサンスポZBAT競馬!にて本紙(名古屋、笠松、金沢)を担当。ダート馬のつもりで出資したクラブ馬が先日、初芝で快勝。何年経っても見る目がないと嘆くアラフィフおじさん。

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